4.6
同じことをしているつもりでも時とともに微妙に感覚がズレていくということはよくあることです。若い時には出来ていたことが歳とともにうまくいかない。だれでも通らなければいけない関門”加齢”で、適当にしているとズレたままで終わってしまいます。
演奏に一番大きな影響があるのがヴァイオリンと弓の持ち方です。うまく弾けない原因をさかのぼっていくと必ずここにぶち当たります。

Violin Playing as I teach itというLeopold AuerのKindle版です。その第2章「How to hold the violin」のI The Violinを見ると「一番大事なことは視線を楽器の頭に向けるべきである。そのため左腕はヴァイオリンの裏に押し入れるようにすべき。2番目に大事なことは楽器を肩の上に休ませるのではなく、むしろ逆に肩を楽器の下に押し入れるようにする。更にヴァイオリンは出来るだけ高く構えるようにすべき。」とあります。更にII The Position of the Thumbには親指は2と3の指の反対側にあるべきとあります。

こちらはGalamianのPrinciples of Violin Playing & Teachingです。こちらはAuerとは正反対で細かく規定するより奏者が楽だと感じることの方が大事、という主義です。楽器の高さについては低いよりは高いほうが良い、Scroll(スクロール)が下がると左手の負担が大きくなると同時に弓が指板の方に滑る傾向があると書いています。

最後にご紹介するのはジェラール・プーレに学ばれた花岡萌実さんが書かれた本です。この本では大事なことは首を左後ろに傾けること、と書いてあります。
ただどの本も楽器を鎖骨のどこにどのように載せるかについてはノーコメント。太っている人は肉がたっぷりあるのでどこでも楽器を支えられるのかもしれませんが、痩せ形の人はちょっと動かしただけでポイントがズレます。私も自分のポイントを掴むのに苦労しました。
体格、筋力は人それぞれなので、それぞれの人が自分に合うように色々なメソードをアレンジしないといけません。それと同時に加齢による変化も考えておかないといけません。
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