5.17
今月末31日(金)に巣鴨の東音ホールで栄子先生の「もっと弾きたい!だから育つ指導法ーチェルニーが夢中で楽しくなるノウハウをご紹介ー」というセミナーがありますが、その時に栄子先生が監修したチェルニー30番 30の小さな物語の下巻が発売になります。(セミナーの内容は上巻に関してです。)

このチェルニー30番 30の小さな物語は、弾きやすい順に並べ替えて、それぞれの曲に挿し絵付きで詳細な指導ポイントとアナリーゼ(作曲家の大場陽子先生が担当されています。)がついています。(企画編集は音楽ジャーナリストの菅野恵理子さんが担当されています。)バスティンなどの導入段階の教材からチェルニーに移ると、大抵の場合そこで足踏みするものです。でもこの30の小さな物語はチェルニーを始めるにあたって必要な準備から細かく書いています。各曲にはとかく陥りやすい問題点が色つきで指摘されているので、指導者にとっても参考になると思います。オリジナルのチェルニー30番の1番は、30の小さな物語では下巻の最初、つまり11番目に弾くことになっています。
このように弾きやすい順にエチュードを並び替えるという試みは、ヴァイオリンでもあります。ただ題材はPaganiniのCapriceです。Emil Krossという人が編集したCarl Fischer版のCapriceがそれで、原曲の16番、5番、11番........というように並んでいます。こういう並び替えはKreutzerやDontの予備教本などにこそ必要だと思います。
また導入教材を弾いている間に今年の1月末に音楽の友社から出たこどものスケールとアルペジオを平行して弾き、調性感をつけておくことも大事です。

つまりこの2冊の本は、導入教材からチェルニー30番のような中級教材に無理なくつなげることを主眼としたものです。チェルニー30番に移ると生徒が思ったように伸びないと悩んでいる指導者の方達にも参考になる本だと思います。 |