指揮者、ソリストご紹介(4) 


このページは2000年にNHK交響楽団が共演した指揮者、独奏者のプロフィール(N響の機関誌「フィルハーモニー」の解説を抜粋したものです)と私の感想をまとめたページです。(全部の公演を網羅するものではありません。)
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2000年
指揮者:イヴァン・フィッシャーレナード・スラトキンエリアフ・インバルデービッド・ロバートソン朝比奈隆
ソリスト:ジェルジュ・パウク〈ヴァイオリン〉、ジェームズ・エーネス〈ヴァイオリン〉、ミクロシュ・ペレーニ〈チェロ〉、パメラ・フランク(ヴァイオリン)、ジョン・ブラウニング(ピアノ)、スティーブン・イッサーリス(チェロ)、尾畑真知子(ソプラノ)、セルゲイ・アレクサーシキン(バリトン)、森麻季(ソプラノ)、フランソワ・エスピナス(オルガン)、柿堺香(尺八)、中村鶴城(琵琶)、アンドレアス・ヘフリガー(ピアノ)、樫本大進(ヴァイオリン)


指揮者

イヴァン・フィッシャー
  1951年ブダペストの音楽一家に生まれる。65〜70年バルトーク音楽院でチェロと作曲を学んだ後、ウィーン音楽院でハンス・スワロフスキーに師事。74年にディプロマを得て卒業、75年にブダペストデビュー、76年ロンドンの指揮者コンクールで優勝、ロイヤル・フィルを指揮して国外デビュー。同年プレミオ・フィレンツェ国際コンクールでも優勝。79〜82年に音楽監督・首席指揮者を務めたノーザン・シンフォニア管弦楽団時代に国際的な注目を集める。
N響との共演は今回3回目を数える。
レナード・スラトキン
  1499年9月1日ロサンゼルス生まれ。音楽家の両親の間に生まれ、1979年よりセント・ルイス交響楽団の首席指揮者となり、一躍注目を集めた。その後は多くのオーケストラへの客演と録音でアメリカ全土やヨーロッパ各地、日本にもその名を知らしめている。96年からはロストロポーヴィッチの後任として「大統領のオーケストラ」と呼ばれるワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督に就任。2000年10月からは新たにロンドンBBC交響楽団も率いることになっている。
エリアフ・インバル
  1936年エルサレムに生まれた。後にオランダでフランコ・フェラーラの、イタリアでセルジュ・チェリビダッケの教えを受けた。63年カンテルリ国際指揮者コンクールに優勝、74年フランクフルト放送響首席指揮者に迎えられ、世界の檜舞台に躍り出た。初来日して読響を振り、見事なマーラーの5番を聞かせたのはその前年である。2001年ベルリン響首席指揮者就任も発表されているが、このオケに往年の名声をいかにして取り戻させるかに期待が集まる。N響には93、94、96年に客演している。
デービッド・ロバートソン
  1958年アメリカのカリフォルニア州サンタ・モニカに生まれる。ロンドンのロイヤル音楽アカデミーで学び、オランダでK・コンドラシン、ルツェルンでR・クーベリックに師事。21歳の時、ニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで第2位 になったのを機に本格的な活動を開始、85〜87年にエルサレム響の常任指揮者を務めた。2000/2001年シーズンから国立リヨン管の音楽監督並びにリヨン市オーディトリアムの芸術監督に就任する。
朝比奈隆
  1908年東京牛込に生まれる。京都帝国大学在学中に同大のオーケストラに入り、ヴァイオリンをモギレフスキー、指揮をメッテルに学んだ。33年大阪室内楽協会を設立、37年京大オーケストラを振って指揮者でビュー。40年には新響(現N響)を指揮してデビュー。
現在日本指揮者協会会長、東京国際音楽コンクール(指揮)審査委員長も務める。

ソリスト

ジェルジュ・パウク〈ヴァイオリン〉
  1936年ブダペストに生まれる。12才でフランツ・リスト音楽院に入学してコダーイらに師事、56年のパガニーニ国際コンクール優勝をはじめ、ミュンヘン、ロン=ティボーなどの国際コンクールで上位 入賞。61年にロンドンに移住し、40年近く第一線で活動を続ける。
欧米の聴衆の間では広く認められているのに、日本ではあまり知られていない演奏家の1人である。
ジェームズ・エーネス〈ヴァイオリン〉
  1976年カナダのマニトバ州ブランドンに生まれる。4才からヴァイオリンを始め、9才からフランシス・チャップマンの愛弟子になる。その後97年までジュリアード音楽院のサリー・トマスの薫陶を受ける。11才でカナダ音楽コンクールの弦楽器部門で大賞を受賞、翌年カナダ音楽祭弦楽器部門の最年少優勝者となる。13才の時モントリオール響の演奏会に出演してデビューを飾った。
ミクロシュ・ペレーニ〈チェロ〉
  1948年にブダペストに生まれる。5才でチェロを学び、7才でフランツ・リスト音楽院に入学、9才でステージに立つ。その後ローマの聖チェチーリア音楽院に留学14才で卒業、翌63年のパブロ・カザルス国際チェロ・コンクールに入賞し、すでに80歳を過ぎていたカザルスに認められる。
パメラ・フランク(ヴァイオリン)
  ピアニストとして活躍していた両親の間にニューヨークに生まれ、5才からヴァイオリンのレッスンをスタート。シモン・ゴールドベルクとハイメ・ラレードに師事し、名門カーティス音楽院に学ぶ。87年に卒業後はアメリカ全土およびヨーロッパ各国で演奏を続け、多くの指揮者・オーケストラと共演を重ねてきた。すでに6回の来日を数えるが、N響との共演は今回初めてである。

ジョン・ブラウニング(ピアノ)

  1933年アメリカ・コロラド州デンバーで音楽家の両親の間に生まれる。10歳の時にはデンバー交響楽団と共演するほどの神童ぶりを発揮した。その後ジュリアード音楽院に入学し、ロジーナ・レヴィンに師事。56年にはディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィルの演奏会に登場し、このときの演奏を人気作曲家のサミュエル・バーバーが聴いて彼のために新作のピアノ協奏曲を書くと約束してくれた。
N響との共演は今から28年前の72年1月に森正指揮で日比谷公会堂で協奏曲の夕べに登場している。
スティーブン・イッサーリス(チェロ)

 

 

1958年ロンドンの音楽一家に生まれた。音楽学校で勉強したわけでもなく、コンクール歴もない彼は、1977年に新人演奏家の登竜門とも言われるロンドンのウィグモア・ホールでデビュー・リサイタルを行い、一躍注目を集めた。N響との共演は94年2月に続いて2度目。私用している1730年製ストラディヴァリウスは彼の先生の先生であるフォイアマンの使用していた楽器でもある。
尾畑真知子(ソプラノ)

 

 

 

札幌出身だが、76年西独ケルン音大へ留学、81年からはケルン・オペラ専属ソリストになり、日本ではあまり聴く機会がない。しかしヨーロッパでの活躍は目覚ましい。昨年のN響の第9公演(準・メルクル指揮)に登場。
セルゲイ・アレクサーシキン(バリトン)
  旧ソ連のサラトフ生まれ。同地の音楽院を卒業後、83-84年にミラノ・スカラ座の研修所で学び、89年に正式にキーロフ・オペラのソリストとなった。今年1月ゲルギエフ率いるキーロフオペラ(マリインスキーオペラ)の一員として来日、ヴェルディの「ドン・カルロ」でフィリッポ2世を歌った。また94年井上道義指揮の東響と共演したショスタコーヴィッチの交響曲第13番「バビ・ヤール」は彼の当たり役である。N響との共演は今回初。
森麻季(ソプラノ)
  東京生まれ。第26回イタリア声楽コンコルソ優勝&ミラノ大賞受賞、第65回日本音楽コンクール第2位 。東響芸術大学卒業、同大学院修了後、97年の二期会公演のジルダに抜擢される。ミラノのヴェルディ国立音楽院に留学、98年にカマイオーレ国際コンクールでオペラ部門と歌曲部門でダブル優勝。98年ドミンゴ世界オペラ・コンテストで第3位 に選ばれ、それから色々な役に抜擢される。
フランソワ・エスピナス(オルガン)
  1961年生まれ。トゥールーズ音楽院でピアノ、パイプオルガン、室内楽、音楽理論を学び、80年グザヴィエ・ダラス教授のクラスを優秀な成績で卒業した。その後オルセー音楽院でアンドレ・イゾワールに師事、またパリ音楽院でジョラス女史の薫陶を受ける。86年トゥールーズ市国際オルガン・コンクールの現代音楽部門に入賞。現在パリ市サン・セヴラン教会のオルガニスト、ボルドー音楽院教授。
柿堺香(尺八)
  1959年埼玉県秩父市出身。横山勝也に学び、青山学院大学理工学部物理学科を卒業後、87年に32期NHK邦楽技能者育成会を卒業。89年に日本伝統文化交流協会によるイタリア公演に参加。97年第3回全国邦楽コンクールで優秀賞を受賞。国際尺八研修館常任講師。
中村鶴城(琵琶)
  1957年宮崎市生まれ。筑前琵琶を初代藤巻旭鴻、薩摩琵琶を鶴田錦史に師事した。早稲田大学文学部美術史学科を卒業、5年間薩摩琵琶の製作に専念した。91年日本琵琶コンクール第1位 。95年には紀尾井ホールでリサイタル、その後PMF、サイトウ・キネン・フェスティバル松本、タングルウッド音楽祭に出演。
アンドレアス・ヘフリガー(ピアノ)
  ベルリン生まれのスイス人。往年の名歌手エルンスト・ヘフリガーの息子。ニューヨークのジュリアード音楽院で学びジーナ・バッカウアー記念奨学金を2度受賞した。93年ロンドンのウィグモアホールにデビューし、以来数々の演奏会に出演している。98年7月初来日、ハインリッヒ・シフ指揮のNHK交響楽団、尾高忠明指揮の紀尾井シンフォニエッタ東京と共演。
樫本大進(ヴァイオリン)
  1979年ロンドン生まれ。90年名教師ザハール・ブロンに出会い、ドイツのリューベックに留学する。94年ケルン、96年クライスラー、96年ロン・ティボーの各国際コンクールに全て優勝する。

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