難しいところの克服法
リズム的に難しいところ、フィンガリングの難しいところ、ボーイングの難しいところなど、オケを弾いていると色々な難しさに遭遇します。難しそうなところは必ず自分が簡単に弾けるくらいゆっくり歌って、そしてゆっくり弾いてみて下さい。速いところの練習法を参考になさって下さい。ゆっくり弾けないものが速く弾けるわけがありません。
2つの練習法
前にもご紹介しましたが、ある曲を弾けるようにするためには2つのまるで違うアプローチをする必要があります。細かく練習してから、止まらないで弾くことです。細かい練習の時は間違えたら必ず止まって直し、通しの練習は何があっても止まらないことです。(たとえ誤魔化してでも.......)
ボーイングの練習
ボーイングの練習の基本にロングトーンの練習があります。その時に考えるべき3つの要素について知っておいて下さい。
皆さんはオーケストラを弾いているときどうやって拍子を勘定していますか。譜面 にただ休符で20小節と書かれていたらどうやってそれを勘定しますか。アマチュアオケの皆さんはいつも拍子を数えるということをしないですよね。拍子は次の3つの方法で数えられるのです。必ずいつも拍子を数えましょう。
1.指を折って数える
私たちも何小節も休みがあるときは必ず指を折って数えています。(心の中でも数える)
2.楽譜に書いてあるガイドを見る
書いてないときは自分で分かるようにガイドを書く(細かく音譜を書かなくてもどの楽器が弾くのかたとえばフルートが出るのが目安なら、フルートの出る小節のところに「Fl.」と書くだけでもすごく助けになる)
3.耳で音楽を聴く
CDなどを聴いて曲を覚えて、自分が出る前がどういう構造になっているかを覚える。
このように独立した3つの方法をとって1つがコケても他の2つでちゃんとフォローできるようにしておくべきです。こうやっても間違えることがありますから、何もしなかったらそりゃ落ちますよ.......
アマチュア・オケの指揮者の方へ
アマチュアオケの指揮者の皆さんに分かって頂きたいプレーヤー心理についてお話します。
1.練習の目的をしっかり分けて下さい。
上にも書いた2つの練習法をぜひハッキリ分けて下さい。本番ではそれぞれの部分の出来も大切ですが、全体としてのまとまりもそれ以上に大切です。止らないで通して弾いて、プレーヤーに全体のペース配分を知らせ、全体像を弾いている持たせてください。
これはおまけ、例えばフレーズの終わりにrit.が書いてないけれど人によってはゆっくりすることがあるようなところで、合わなくなったとします。オケの方はそれぞれの演奏経験から、そういうところに来るとrit.するのだろうかと様子を見ています。それでお見合いになり、ズレるのです。そのような場合にはin
tempoなのかrit.なのかだけ教えて下さい。指揮者の希望がわかれば普通は1度目はズレても2度目には合います。(何度やっても合わないようだったらそれはオーケストラの責任ですね!)
2.通し練習で大切なこと
通して弾くことになぜこだわるかというと、少なくとも1つの楽章を通して弾かないと、どこがクライマックスでそこまでどう持って行くかということ(構成とペース配分)が呑み込めないからです。通して弾かせてもらわないと、弾く側はいつまでも全体の流れがつかめず、初見のような気分にしかなれないのです。流れがつかめれば、演奏に勢いが出て、部分的に破綻があっても全体のまとまりははるかに良くなります。そしてその方がはるかに短時間に効果が上がります。
3.オケが指揮者に求めること
弾き手である孫悟空(オケマン)に自由に弾かせているような気にさせながら、実はちゃんとコントロールしているというお釈迦様が理想です。プレーヤーは基本的に自由に思い切り弾きたいものです。それを満たしながら全体をまとめて頂きたいのです。
弾き手の心に自分のイメージを沸き上がらせるのが理想です。棒など振らなくても顔の表情で指揮できるのです。
この意味で私の経験で一番印象的だった指揮者は、ロブロ・フォン・マタチッチさんです。(このエピソードが山のようにある人、今では知る人も少ないようで残念です。)この人のブルックナーなど全然細かく振らないのに、顔を見ているだけでどうしたら良いのかが分かるのです。そしてフレーズがとても長く、スケールがとても大きなブルックナーが出来上がりました。