ステレオ(2016年版) 


私が家で音楽を聴くためのステレオをご紹介します。

 ヴァイオリン弾きである私が自分の勉強と楽しみのために聴いているステレオです。リビングと家の中の3つのレッスン室にステレオを置いています。
 第一に音の芯がしっかり伝わること、そして音の質感密度感スピード感が全帯域で同じであること、そしてステレオの存在を忘れられる事が私の求める条件です。私にとってスピーカーから出る音は広帯域で分離が良い事より、まとまりの良い事の方が大事です。そういう条件のもと集めたのが私のシステムです。


ひとりごとの中でステレオについて書いた事を「オーディオの小道」というページにまとめました。


レゾナンス(コンサート・サロン兼レッスン室)

スピーカー:TANNOY Stirling HE+ST25
メインアンプ:サンバレー SV-501 SE(低域)
      +42シングル(高域)
プリアンプ:サンバレー SV722 Macintosh型
CD:CEC TL3N
DAC:サンバレー SV-192S
プレーヤー:リンソンデックLP12
カ−トリッジ:Ortofon Kontrapunkt b

スーパーツイーターST25はレベルは85dB、クロスオーバー周波数は18kHzに設定しています。この最も弱くスーパーツイーターを効かせる設定が一番バランスが良く聞こえます。なおStirlingのツイーターのレベルは中央にしています。スーパーツイーターは標準より少し前に出しています。
 CDプレーヤー関係はCECのTL3NとサンバレーのSV-192Sの組み合わせです。
 アナログプレーヤーはLINNのLP12です。カートリッジはKontrapunkt b、それをSV-722のMC端子に入れています。
 プリアンプはサンバレーのプリアンプSV-722 Macintosh型です。
 メインアンプは中低域をサンバレーのSV-501 SE、高域を42シングルアンプでバイアンプ駆動をしています。

 2014年12月にオープンした”レゾナンス”です。この部屋ではピアノを置くためにスピーカーをピアノの前に出さざるを得ません。そして普通は右のように置かれると思いますが、左のように1:1:1:1の位置に置くと素晴らしい響きの空間が表出されます。
 ここでの教訓を活かして、他の部屋でもスピーカーを前に出すようにして、できるだけ1:1:1:1に近づけるようにしています。


リビングのシステム

スピーカー: Rogers LS5/9+Pioneer PT-R4
メインアンプ:サンバレーmini91B
プリアンプ:サンバレーSV-20D
CD:MYRYAD MCD500
プレーヤー:REGA Planar25
カートリッジ:Ortofon Kontrapunkt a

 この部屋のスピーカーはRogersのLS5/9にしました。CDとレコードが聴けて、できたらMacのiTunesの曲も鳴らしたい、という事でプリはUSB入力のあるSV-20Dにしました。そしてメインは大橋さんのお奨めでmini91Bにしました。
 なかなか思ったように鳴らなかったRogersのLS5/9は、ずっとSV-4で鳴らしてきました。SV-9t、SV-4で鳴らしてきた経験から、LS5/9はプッシュプルでないと鳴り切らないと思っていましたが、mini91Bは300Bシングルなのによく鳴っています。
 LS5/9の上にはパイオニアのPT-R4が載っています。LS5/9の入力はキャノンコードですが、mini91Bの出力にPT-R4をつなぎました。とても効果が大きく、音の粒が細かくなりました。(Autograph miniを撤収したので、PT-R4が余ったのでリビングに持ってきました。)


ピアノ・レッスン室

 1階の奥のレッスン室はピアノレッスン室になりました。TANNOYのDevonがメインです。

スピーカー: TANNOY Devon+ST25
メインアンプ:サンバレーSV-91B
プリアンプ:サンバレーSV-310
CD:CEC TL-51X
DAC:サンバレーModel2
プレーヤー:サンバレーSV-A1
カートリッジ:Ortofon SPU
EQアンプ:サンバレーSV-310 EQ

 この部屋はスピーカーをDevon1つにしました。

 2004年4月にエッジを張り替えたDevonは、買ってから25年以上経ち、よく鳴らし込んであるので音は軽く出てきます。スーパーツイーターST-25を追加したら音に重量感がプラスされて良い感じになりました。(スーパーツイーターを加えたら全域にわたって効果が見えました。)

 SV-310はボリュームを下げても音が痩せません。また反応自体はとても高速なのですが、曲の進行がゆったり聞こえてきます。表現力のあるプリに共通した表現で、2階のSV-722も同じ傾向を持っています。(どちらかと言うとSV-310の方がその傾向は強いです。)音の立ち上がりから収束まですごくよく聴き取れます。

 入力関係はCDプレーヤーはCECのTL-51X、レコード(アナログ)はサンバレーのSV-A1(カートリッジはORTOFONのSPU)+SV-310EQ(イクォライザー)です。
 SV-310EQ+SV-310+SV91Bというラインナップは今では実現出来なくなってしまいましたが、大事に使っていこうと思っています。

 この部屋のシステムが私の原点なのですが、今となってはこれを移せる場所がありません。本当はレゾナンスに持って行きたかったのですが、レコードプレーヤー関係の置き場が見つかりませんでした。それでリビングのシステムをレゾナンスに持って行きました。

 ステレオのセッティングについてはサンバレーのオーディオ万華鏡(真空管徒然日記)がとても参考になっています。皆様も是非お読みになって下さい。


玄関脇のヴァイオリン・レッスン室

 ここにもAutograph miniを中心とするセットがあったのですが、孫が火傷をする危険性があるので、撤収しました。


3つの300Bアンプ(SV-501 SE、SV-91Bそしてmini91B)

 今我が家には300Bのアンプは3台あります。新しくできたレゾナンスにはSV-501 SE、1階のメインのレッスン室にはSV-91B、2階リビングにはmini91Bです。
 SV-91BとSV-501 SEの違いについては、以前に書いたものを引用します。

 私達演奏家が忘れてはならない音の厚みを出す事などはそれこそ91Bの独壇場でしょう。(音と音がいつもつながっていて(legato)、それでいて1音1音発音はハッキリしないといけないのです。お茶漬けサラサラではいけないのです。この感覚を日本で[特に和風の住宅で]持ち続けるのはとても難しいです。この感覚は91Bの方がよく表現できています。)それに91でジックリ聴いたソースを501で聴くと、何かサラッと流れて行ってしまうような気がするのも事実です。でも91Bではあまり出てこない色彩感が、501 SEではよく聞こえてくるのもまた事実。

 去年の暮LS5/9をmini91Bで鳴らすようにして、我が家のメインは全て300Bのシングルアンプになりました。
 音の幅と厚み、黒光りする音(重心が低いけれど、明るく輝く音。ヴァイオリンで言うとGuarnerius del Gesuのような音。)を大事にしたいので、こうなりました。音の拡がりや流麗さを大事にする方だとSV-91BよりSV-501 SEやVP-mini300MkIIを選ばれるでしょう。私たちの世代のプレーヤーはSV-91Bに魅かれる人が多いですが、若い世代の人はより流麗な音に魅かれるようです。ステレオの選び方にも年代の特徴がよく表れています。


スピーカーのセッティング

 今までスピーカーのセッティングというと、スピーカーを載せるボードやインシュレーターの材質に主な関心が向いていました。しかしレゾナンスが出来てからは、スピーカーを置く位置の方が大事だという事がクローズアップされてきました。出来るだけ大橋さんが提唱する1:1:1:1の配置を守るのが良いです。特に部屋の奥の壁から出来るだけ前に出す事が大事です。

 レゾナンスでは床の鳴きを防ぐために重い黒御影石のボードを置いていますが、その上の樽ボードとの間に滑らないように防震ゴムを挟んでいました。でも音を聴くと滑り止めのネットを挟む方が良い結果が出ます。どうも御影石+防震ゴムの組み合わせは良くないようです。

 インシュレーターについてはどんな種類の木製の角ボードより真鍮+ステンレス・インシュレーターの方が音が良いです。


私が求める音

 私はCDやレコードを聴く時、まずは演奏家の意図がよく分かるように、会場の客席で聴く距離感で音を聴くように心がけています。ですが弾き方のヒントを得たい時は、もっと近い演奏家と同じステージの上で少し離れた音を聴くようにしています。(近すぎると迫力はたしかにありますが、全体のバランスが悪過ぎて全体の構成が聞き取れないからです。それに音を遠くに飛ばす演奏雑音が強過ぎます。)
 指や弓が弦にあたる音はたしかに面白いでしょうが、バランスの面から言うとやり過ぎです。

 音楽は生命への賛歌です。常に時間に支配されながらも生きていく喜びを音で表現しているわけです。音楽を聴く時、演奏の技術や音色、音楽性も勿論大切なのですが、一番感動するのは何といってもその演奏の生命力に対してです。その生命力はテンポとリズムにあります。たとえ音色などは充分に表現されなくても、演奏の一番根幹をなす生命力(テンポとリズム)はスペックの劣る媒体を通しても、充分聞き取る事ができ感動できるのです。
  その音楽を装置を通して聴かせるオーディオの世界では良い音が出ている時に、それが演奏が良いからなのか装置が良いからなのかを分けて考えていないのです。良い再生装置というのは何を聴いても良い音がするのではありません。良い演奏は良く、つまらない演奏はつまらなく、真の姿を伝えなければ良い装置ではありません。そういう良い装置で聴くのはある意味とても厳しいものです。

 音楽の中核をなし、聴く人に最も訴えかけるのは中域の音です。ですから古い録音や器械でも中域がしっかり出ている物はいつの世でも良い評価を得ます。前にご紹介した結合音の例を見ても、音は倍音だけで出来上がっているのではありません。(この結合音は奏者の近くでは聞こえますが、離れると聞こえません。つまり客席で聴いている人には意識される事のない現象です。)
  また音楽は正弦波の重ね合わせで表現出来るものではありません。(正弦波の重ね合わせは近似的に定常状態の場合には有効な分析法です。)音楽は過渡的現象と言われる例外的な現象の連続なのです。理論的には倍音列を出来るだけ上まで再現すれば生の音に近くなる筈なのに、実際は違和感のみが強調されてしまいます。

 要するに活き活きとした楽しい音を聴ければ、方式など何でも良いのです。例えば直熱3極管300Bシングルとビーム管KT66プッシュプルの出す音が思いの外に近いのです。スピーカーが決まると音の基本的キャラクターが決まるので、それを最大限活かせるアンプを探すという順で決めていくのが良いでしょう。
 今にして思うのは一番影響力が大きいのは部屋の音響です。ですから上に書いたような現象(300BシングルとKT66プッシュプルの話)が起こるのでしょう。


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