紙バン(紙絆創膏)式製本
レッスンの時にコピーした譜面を大判のスケッチブックに貼って持ってくる方がいますが、重くて大きくて取り回しが悪いです。私がN響の先代の譜面係の方に教えていただいた製本の方法をご紹介します。(当時は両面コピーはできなかったので、表と裏をプリットで貼り付けるという面倒な作業が必要でした。今は拡大縮小も両面コピーも簡単に出来ます。)
1.譜面を元の譜面通りに両面コピーします。(片面コピーした場合は、表と裏を貼り合わせます。貼り合わせる場合、4辺全部をのり付けするのではなく、長辺の方だけをのり付けします。)

片面コピーの場合は、
このようにスティック糊で貼り合せる
2.両面コピーした譜面を最初から2枚とり出し、紙絆創膏で貼り合わせます。布テープやセロテープはお奨めできません。

2の裏は1ページ、3の裏は4ページです。
2ページと3ページの間に上の写真のように紙バンを貼ります。
実際には紙バンははみ出さないように切ります。
(写真では見えないのでわざとはみ出して貼ってあります。)
3.次の2枚(5,6ページの分と7,8ページの分)を同様に紙バンで貼り合わせます。
以下同様にすべてを2枚ずつ貼り合わせます。最後が1枚になった場合はそれもその前のブロックにプラスして貼り合わせます。
4.2枚ずつのブロックを貼り合わせ、最終的にすべてを貼り合わせます。
2枚ずつに分ける理由は、貼り合わせる時に左右の高さが違い過ぎると、隙間なく貼るのが難しいからです。
5.最後に下の写真のように外側に紙絆創膏を貼って完成です。

見難いですが、紙絆創膏を貼ってあります。
これを貼らないと、内側の紙バンがベタベタ貼り付きます。
枚数が多い場合は巾広のものを使いましょう。
コピーする時のコツとして、A4に楽譜をコピーする場合は100%ではなく96%位に縮小してコピーした方が良いでしょう。
全集物のようにページ数がとても多い場合は、紙バン式は手数がかかり過ぎて大変です。紙バン式はせいぜい10枚(20ページ)位まででしょう。それより多い場合はリング式の方が良いです。

大昔(多分20年位前)に作った紙バン式の製本
まだ両面コピーができなかった頃なので
片面コピー60枚を2枚ずつ貼り付けています
背中に貼った紙バンが経年変化で剥がれてしまいました
こういう製本が多くなったのでワイヤバインダーを買いました
紙バン式製本は20年経っても背中だけ張り替えれば充分実用に堪えます。(布テープやセロテープは劣化が速く、すぐに使えなくなります。)
私がのり付け式の製本機を使わないのは、譜面が完全に開かないからです。その点についてはリング式が最高ですが、リング式製本機はかなり高価です。
私はソロのコンサートの時には譜面をB5に縮小コピーして、それにボーイング・フィンガリングを書き込んで持ち歩いています。紙バン式の譜面は薄いですし、B5にしてあるので楽器ケースにもキレイに納まります。譜面台に楽譜を載せる場合はA4判を使います。
下の写真はHenle版のYsayeの無伴奏ソナタの譜面です。譜めくりが簡単にできるよう、見開き3ページになっています。これは第6番のソナタですが、最初の3ページを弾いた後譜面をめくると、あとの3ページが見られます。つまり3ページ目の最後の休符の時にめくれば、1回の譜めくりですむわけです。 |