ステレオ(2011年版) 


私が家で音楽を聴くためのステレオをご紹介します。

 ヴァイオリン弾きである私が自分の勉強と楽しみのために聴いているステレオです。リビングと家の中の3つのレッスン室にステレオを置いています。
 第一に音の芯がしっかり伝わること、そして音の質感密度感スピード感が全帯域で同じであること、そしてステレオの存在を忘れられる事が私の求める条件です。私にとってスピーカーから出る音は広帯域で分離が良い事より、まとまりの良い事の方が大事です。そういう条件のもと集めたのが私のシステムです。


ひとりごとの中でステレオについて書いた事を「オーディオの小道」というページにまとめました。


リビングのシステム

スピーカー:TANNOY Stirling HE+ST25
メインアンプ:サンバレー SV-501 SE(低域)
      +佐藤さん作42シングル(高域)
プリアンプ:サンバレー SV722 Macintosh型
CD:CEC TL3N
DAC:サンバレー SV-192S
プレーヤー:リンソンデックLP12
カ−トリッジ:Ortofon Kontrapunkt b
MC昇圧トランス:Ortofon T1000

 スーパーツイーターST25はレベルは85dB、クロスオーバー周波数は18kHzに設定しています。この最も弱くスーパーツイーターを効かせる設定が一番バランスが良く聞こえます。なおStirlingのツイーターのレベルは中央にしています。
 CDプレーヤー関係はCECのTL3NとサンバレーのSV-192Sの組み合わせです。
 アナログプレーヤーはLINNのLP12です。カートリッジはKontrapunkt b、それをORTOFONのT-1000で昇圧して、SV-722のMM端子に入れています。
 プリアンプはサンバレーのプリアンプSV-722 Macintosh型です。プリアンプは管にする必要はないという説がありますが、音楽の芯を伝えてくれるという点と音の密度の点でかなりの表現力の違いがあります。
 メインアンプは中低域をサンバレーのSV-501 SE、高域をサンバレーの佐藤さんの作られた42シングルアンプでバイアンプ駆動をしています。


私のレッスン室

 1階のレッスン室はTANNOYのDevonとRogersのLS5/9がメインです。

スピーカー: TANNOY Devon+ST25
メインアンプ:サンバレーSV-91B

スピーカー: Rogers LS5/9
メインアンプ:サンバレーSV-4

プリアンプ:サンバレーSV-310
CD:MYRYAD MCD500
プレーヤー:サンバレーSV-A1
カートリッジ:Ortofon SPU
EQアンプ:サンバレーSV-310 EQ

 結局DevonとLS5/9は両方ともピアノの後ろに置く事にしました。スピーカーの配置としてはあまり良い位置ではないのですが、部屋の使い勝手を考えて元に戻しました。

 2004年4月にエッジを張り替えたDevonは、買ってから25年以上経ち、よく鳴らし込んであるので音は軽く出てきます。スーパーツイーターST-25を追加したら音に重量感がプラスされて良い感じになりました。(スーパーツイーターを加えたら全域にわたって効果が見えました。)
 なかなか思ったように鳴らなかったRogersのLS5/9は、SV-4という良い相棒を得てDevonに並んで定位置を確保しました。300Bシングルでは芯まで鳴らない感じが拭えなかったのですが、SV-9tでその感じが拭えました。SV-4は更に円やかさがプラスされて、とても良い響きです。

 SV-310はボリュームを下げても音が痩せません。また反応自体はとても高速なのですが、曲の進行がゆったり聞こえてきます。表現力のあるプリに共通した表現で、2階のSV-722も同じ傾向を持っています。(どちらかと言うとSV-310の方がその傾向は強いです。)音の立ち上がりから収束まですごくよく聴き取れます。

 入力関係はCDプレーヤーはMYRYADのMCD500、レコード(アナログ)はサンバレーのSV-A1(カートリッジはORTOFONのSPU)+SV-310EQ(イクォライザー)、そしてFMはケーブルテレビのラインからFMの信号をとれなくなってしまい、今は屋根裏部屋に持って行きました。
 SV-310EQ+SV-310+SV91Bというラインナップは今では実現出来なくなってしまいましたが、大事に使っていこうと思っています。

 リビングとこのレッスン室のステレオのセッティングについてはサンバレーの店主のひとりごとがとても参考になっています。皆様も是非お読みになって下さい。


1階の小さいレッスン室

 1階の玄関脇の小さいレッスン室に置くセットです。

スピーカー: TANNOY Autograph mini+Pioneer PT-R4
メインアンプ:サンバレーmini91B
プリアンプ:サンバレーSV-20D
CD:CEC TL-51X
DAC:サンバレーModel2
プレーヤー:REGA Planar25
カートリッジ:Ortofon Kontrapunkt a

 CDとレコードが聴けて、できたらMacのiTunesの曲も鳴らしたい、という事でプリはUSB入力のあるSV-20Dにしました。そしてメインは最初にAutograph miniに合わせて選んだmini91Bにしました。
 この部屋の主役Autogrqph miniはとても気難しいスピーカーで、なかなか思ったように鳴ってくれません。まずメインアンプをVP-mini300MkIIとmini91Bのどちらにするか、なかなか決まりませんでした。今まで大体一発で組み合わせを決めてきた私にはとても珍しい事です。結局最初に思った通りmini91Bにして、セッティングを色々やって、やっと今の状態に落ち着きました。


3つの300Bアンプ(SV-501 SE、SV-91Bそしてmini91B)

 今我が家には300Bのアンプは3台あります。一番聴く機会の多いリビングにはSV-501 SE、1階のメインのレッスン室にはSV-91B、サブのレッスン室にはmini91Bです。
 2009年4月にAutograph miniを導入し、6月にそれをドライブするメインアンプにmini91Bを選びました。それまで主に聴いていたSV-91BとSV-501 SEの違いについては、以前に書いたものを引用します。

 私達演奏家が忘れてはならない音の厚みを出す事などはそれこそ91Bの独壇場でしょう。(音と音がいつもつながっていて(legato)、それでいて1音1音発音はハッキリしないといけないのです。お茶漬けサラサラではいけないのです。この感覚を日本で[特に和風の住宅で]持ち続けるのはとても難しいです。この感覚は91Bの方がよく表現できています。)それに91でジックリ聴いたソースを501で聴くと、何かサラッと流れて行ってしまうような気がするのも事実です。でも91Bではあまり出てこない色彩感が、501 SEではよく聞こえてくるのもまた事実。

 これにAutograph miniとmini91Bが加わり、メイン3機種×スピーカー3台=9通りと選択肢がとても増えました。でも結局今までのラインは崩さずに、Autograph miniはmini91Bでドライブする事にしました。
 音の幅と厚みを大事にしたいので、こうなりました。音の拡がりや流麗さを大事にする方だとSV-91BよりSV-501 SEやVP-mini300MkIIを選ばれるでしょう。私たちの世代のプレーヤーはSV-91Bに魅かれる人が多いですが、もっと若い世代の人はより流麗な音に魅かれるようです。ステレオの選び方にも年代の特徴がよく表れています。


スピーカーのセッティング

 従来スピーカースタンドの下にはコーリアンを敷いていました。でも2年前に御影石のボードを試してみました。ただ御影石のボードはスタンドとスピーカーの間に敷いています。この状態だと御影石のボードはちょっと触っただけで動いてしまうので、動かないようにスタンドと御影石の間に防振ゴムを入れました。音も防振ゴムを入れないと硬過ぎるのが、防振ゴムを入れるとちょうど良くなりました。そして最初は御影石とスピーカーの間には真鍮&ステンレスインシュレーターを入れていましたが、去年の7月頃からは黒檀のブロックを、そして今年になってアサダ桜のブロックも使ってみました。ですが聴きなおしてみたら、御影石+防振ゴムはなし、インシュレーターは真鍮&ステンレスの状態が一番良い音に聞こえるので、これに戻しました。

 以下はここら辺の細かい経緯です。(2011年6月18日19日のひとりごとより抜粋)

 夕方のレッスンの前に1階のレッスン室のDevonとLS5/9の足の比較試聴をしました。まず今使っているアサダ桜を聴き、次に黒檀を聴き、最後に真鍮+ステンインシュレーターを聴きました。アサダ桜に会った時はとても開放的に聞こえて良く思ったのですが、ある程度経ってもう一度聴き直してみると、音が少しはしゃいでいて、音色が一つに聞こえてきます。そのためにかけ初めにきつく聞こえたのでしょう。
 黒檀はまとまりは良いのですが、締まりすぎです。そして真鍮+ステンインシュレーターにしたら、肩から力が抜けていました。そして一番印象的だったのは、Rafael Kubelik指揮のシューマンのRheinで弦のあとにすぐ管のソロが出てくるところです。その管楽器の音色が一番きれいに出たのはこれでした。木材の足だと、管の音の特徴があまり出てきません。最初にこれを感じてから、もう一度桜と黒檀のブロックを入れて聴き直してみましたが、やはり真鍮+ステンインシュレーターが一番良かったでした。それに響きのきれいさもこれが良かったでした。初めは音が変わってこれぞ!と思ったアサダ桜でしたが、思いの外に音色の変化が抑えられていたのにはびっくりしました。これで1階レッスン室のスピーカーは2つとも震災前と同じ真鍮+ステンに戻しました。Autograph miniとEntry Sも試さないと........このところ色々右往左往していますが、近いうちに自分の耳の再検証の意味も込めて、もう1度御影石を試します。(2011.6.18)

 そして夜になって、昨日書いた御影石+防振ゴムを再度試してみました。(スピーカーの脚は真鍮+ステンです。)御影石のセッティングの楽なLS5/9で試しました。今までの感じからDevonでも同じ傾向だと思います。今日はオーケストラのCDを3種類聴きました。(昨日聴いたシューマンのライン、ヴァツラフ・ノイマン指揮チェコフィルのドヴォルザークのスラブ舞曲、ギーレン指揮のマーラーの復活)
 最初に御影石なしで、次に御影石を入れて聴いてみました。御影石を入れると、各楽器の音が少し硬質で音離れが良く聞こえるのですが、なぜか楽器同士の音が馴染まないのです。再度御影石なしで聴きましたが、やはりこの方が良かったです。御影石なしの方が色々の楽器の音がよく馴染んで気持ちよく聞こえます。
 御影石を初めて聞いた時はとても新鮮に聞こえましたが、しばらく経って冷静に聴いてみると思いもかけなかった事が浮かび上がってきました。今回の御影石(+防振ゴム)、アサダ桜と黒檀のブロックの一件は追試の重要性を思い起こさせてくれました。(2011.6.19)

 一度良いと思っても、冷静に聴きなおすと違う結果が出るかもしれません。スピーカーのセッティングについてこの2年間回り道をした反省です。


私が求める音

 私はCDやレコードを聴く時、まずは演奏家の意図がよく分かるように、会場の客席で聞く距離感で音を聴くように心がけています。ですが弾き方のヒントを得たい時は、もっと近い演奏家と同じステージの上で少し離れた音を聴くようにしています。(近すぎると迫力はたしかにありますが、全体のバランスが悪過ぎて全体の構成が聞き取れないからです。それに音を遠くに飛ばす演奏雑音が強過ぎます。)
 指や弓が弦にあたる音はたしかに面白いでしょうが、バランスの面から言うとやり過ぎです。

 音楽は生命への賛歌です。常に時間に支配されながらも生きていく喜びを音で表現しているわけです。音楽を聴く時、演奏の技術や音色、音楽性も勿論大切なのですが、一番感動するのは何といってもその演奏の生命力に対してです。その生命力はテンポとリズムにあります。たとえ音色などは充分に表現されなくても、演奏の一番根幹をなす生命力(テンポとリズム)はスペックの劣る媒体を通しても、充分聞き取る事ができ感動できるのです。
  その音楽を装置を通して聴かせるオーディオの世界では良い音が出ている時に、それが演奏が良いからなのか装置が良いからなのかを分けて考えていないのです。良い再生装置というのは何を聴いても良い音がするのではありません。良い演奏は良く、つまらない演奏はつまらなく、真の姿を伝えなければ良い装置ではありません。そういう良い装置で聴くのはある意味とても厳しいものです。

 音楽の中核をなし、聴く人に最も訴えかけるのは中域の音です。ですから古い録音や器械でも中域がしっかり出ている物はいつの世でも良い評価を得ます。前にご紹介した結合音の例を見ても、音は倍音だけで出来上がっているのではありません。(この結合音は奏者の近くでは聞こえますが、離れると聞こえません。つまり客席で聴いている人には意識される事のない現象です。)
  また音楽は正弦波の重ね合わせで表現出来るものではありません。(正弦波の重ね合わせは近似的に定常状態の場合には有効な分析法です。)音楽は過渡的現象と言われる例外的な現象の連続なのです。理論的には倍音列を出来るだけ上まで再現すれば生の音に近くなる筈なのに、実際は違和感のみが強調されてしまいます。

 要するに活き活きとした楽しい音を聴ければ、方式など何でも良いのです。例えば直熱3極管300Bシングルとビーム管KT66プッシュプルの出す音が思いの外に近いのです。スピーカーが決まると音の基本的キャラクターが決まるので、それを最大限活かせるアンプを探すという順で決めていくのが良いでしょう。
 今にして思うのは一番影響力が大きいのは部屋の音響です。ですから上に書いたような現象(300BシングルとKT66プッシュプルの話)が起こるのでしょう。


HomePageへ