ステレオ(2008年版) 


私が家で音楽を聴くためのステレオをご紹介します。

 ヴァイオリン弾きである私が自分の勉強と楽しみのために聴いているステレオです。リビングと家の中の3つのレッスン室にステレオを置いていますが、リビングと私のレッスン室をメインにしています。(それ以外の部屋についても早々にシステムを決めようと思っています。)
 第一に音の芯がしっかり伝わること、そして音の質感密度感スピード感が全帯域で同じであること、そしてステレオの存在を忘れられる事が私の求める条件です。私にとってスピーカーから出る音は広帯域で分離が良い事より、まとまりの良い事の方が大事です。そういう条件のもと集めたのが私のシステムです。


ひとりごとの中でステレオについて書いた事を「オーディオの小道」というページにまとめました。


リビングのシステム

スピーカー:TANNOY Stirling HE+ST25
メインアンプ:サンバレー SV-501 SE(低域)
      +佐藤さん作42シングル(高域)
プリアンプ:サンバレー SV722 Macintosh型
CD:CEC TL-51X
DAC:サンバレー Model2
DAT:Pioneer D-07A
プレーヤー:REGA Planar25
カ−トリッジ:Ortofon Kontrapunkt a
MC昇圧トランス:Ortofon T1000

 Stirlingに組み合わせたスーパーツイーターST25はレベルは85dBクロスオーバー周波数は18kHzに設定しています。この最も弱くスーパーツイーターを効かせる設定が一番バランスが良く聞こえます。なおStirlingのツイーターのレベルは中央にしています。
 CDプレーヤー関係はCECのベルトドライブのTL-51XとModel2の組み合わせになりました。
 プリアンプはサンバレーのプリアンプSV-722 Macintosh型です。プリアンプは管にする必要はないというのが定説ですが、音楽の芯を伝えてくれるという点と音の密度の点でかなりの表現力の違いがあります。
 メインアンプは中低域をサンバレーのSV-501 SE、高域をサンバレーの佐藤さんの作られた42シングルアンプを使って、バイアンプ駆動をしています。


私のレッスン室

 1階のレッスン室はTANNOYのDevonとRogersのLS5/9がメインです。

スピーカー: TANNOY Devon+ST25
メインアンプ:サンバレーSV-91B

スピーカー: Rogers LS5/9
メインアンプ:サンバレーSV-4

プリアンプ:サンバレーSV-310
CD:MYRYAD MCD500
MD:Victor XM-D11
チューナー:サンバレーSV-11FM
プレーヤー:リンソンデックLP12
カートリッジ:Ortofon Kontrapunkt b
EQアンプ:サンバレーSV-310 EQ

 2004年4月にエッジを張り替えたこのシステムのカナメDevonは、買ってから25年以上経ち、よく鳴らし込んであるので音は軽く出てきます。スーパーツイーターST-25を追加したら音に重量感がプラスされて良い感じになりました。(スーパーツイーターを加えたら全域にわたって効果が見えました。)
 今までなかなか思ったように鳴らなかったRogersのLS5/9ですが、SV-9tそしてなんと言ってもSV-4という良い相棒を得てDevonに並んで定位置を確保しました。

 SV-310はボリュームを下げていても音が痩せません。また反応自体はとても高速なのですが、聴いていると曲の進行がゆったり聞こえてくる不思議な感触のプリです。表現力のあるプリに共通した表現で、2階のSV-722も同じ傾向を持っています。(どちらかと言うとSV-310の方がその傾向は強いです。)音の立ち上がりから収束まですごくよく聴き取れるのです。

 入力関係はCDプレーヤーはMYRYADのMCD500、レコード(アナログ)はリンソンデックのLP12+SV-310EQ(イクォライザー)、そしてFMはSV-11FMです。特にSV-11FMはとても充実した音でFMを見直しました。その昔FMでエアチェックに励んだ頃の事を思い出させる音でした。
 SV-310EQ+SV-310+SV91Bというラインナップは今では実現出来なくなってしまいましたが、大事に使っていこうと思っています。

 リビングとこのレッスン室のステレオのセッティングについてはサンバレーの店主のひとりごとがとても参考になっています。皆様も是非お読みになって下さい。


全く性格の異なる2つの300Bアンプ(SV-501 SEとSV-91B)

 今リビングではSV-501SEを、1階のレッスン室ではSV-91Bを使っています。これほど性格の異なる2つのアンプをどうして使っているのかについて説明します。
 リビングでは寛ぎながら(コーヒーとお菓子を楽しみながら)音楽を聴いていますが、こういう環境にはSV-501がよく合います。逆にレッスン室で聴く時にはSV-91Bの方が良く聞こえます。どちらか1つをとるとすれば私はSV-91Bの方をとります。同じソースでもその時の目的によって色々な聴き方をするので、例えばある演奏家の弾き方をすぐそこに感じたい時は91で、コンサートを聴きに行った時のように楽しむのだったら501で聴きます。501の方は色々な音色があり細かい音がよく聞こえますが、91の方は音の厚みとエネルギー感が優れています。
 私達演奏家が忘れてはならない音の厚みを出す事などはそれこそ91Bの独壇場でしょう。(音と音がいつもつながっていて(legato)、それでいて1音1音発音はハッキリしないといけないのです。お茶漬けサラサラではいけないのです。この感覚を日本で[特に和風の住宅で]持ち続けるのはとても難しいです。この感覚は91Bの方がよく表現できています。)それに91でジックリ聴いたソースを501で聴くと、何かサラッと流れて行ってしまうような気がするのも事実です。でも91Bではあまり出てこない色彩感が、501 SEではよく聞こえてくるのもまた事実。この2つの相反するような面を両方とも欲しい欲張りな私にとってはレッスン室のメインシステムもリビングのサブシステムもどちらも大事で、優劣はつけられません。単純に聴く回数はリビングの方が多いです。


その他のレッスン室

 この他にレッスン室は1階と離れにあります。どちらもCDを中心として、場合によってはAUX入力を使うというものです。
 1階のもう1つのレッスン室は、kitLS3/5Aを中心として、SV-9t+SV-14LB+CECのTL-51X+Model2というものです。

 離れのピアノのレッスン室はALR-JordanのEntry S+樽アンプ+SV-3+ARCAMのFMJ23Tといういたって簡単なものです。


私が求める音

 私はCDやレコードを聴く時、演奏家の意図がよく分かるように会場の客席で聞こえる音を聴くように心がけています。ですが弾き方のヒントを得たい時は、演奏家と同じステージの上で少し離れた音を聴くようにしています。(近すぎると迫力はたしかにありますが、全体のバランスが悪過ぎて全体の構成が聞き取れないからです。それに音を遠くに飛ばす演奏雑音が強過ぎます。)
 指や弓が弦にあたる音はたしかに面白いでしょうが、バランスの面から言うとやり過ぎです。

 音楽は生命への賛歌です。常に時間に支配されながらも生きていく喜びを音で表現しているわけです。音楽を聴く時、演奏の技術や音色、音楽性も勿論大切なのですが、一番感動するのは何といってもその演奏の生命力に対してです。その生命力はテンポとリズムにあります。たとえ音色などは充分に表現されなくても、演奏の一番根幹をなす生命力(テンポとリズム)はスペックの劣る媒体を通しても、充分聞き取る事ができ感動できるのです。
  その音楽を装置を通して聴かせるオーディオの世界では良い音が出ている時に、それが演奏が良いからなのか装置が良いからなのかを分けて考えていないのです。良い再生装置というのは何を聴いても良い音がするのではありません。良い演奏は良く、つまらない演奏はつまらなく、真の姿を伝えなければ良い装置ではありません。そういう良い装置で聴くのはある意味とても厳しいものです。

 音楽の中核をなし、聴く人に最も訴えかけるのは中域の音です。ですから古い録音や器械でも中域がしっかり出ている物はいつの世でも良い評価を得ます。前にご紹介した結合音の例を見ても、音は倍音だけで出来上がっているのではありません。(この結合音は奏者の近くでは聞こえますが、離れると聞こえません。つまり客席で聴いている人には意識される事のない現象です。)
  また音楽は正弦波の重ね合わせで表現出来るものではありません。(正弦波の重ね合わせは近似的に定常状態の場合には有効な分析法です。)音楽は過渡的現象と言われる例外的な現象の連続なのです。理論的には倍音列を出来るだけ上まで再現すれば生の音に近くなる筈なのに、実際は違和感のみが強調されてしまいます。

 要するに活き活きとした楽しい音を聴ければ、方式など何でも良いのです。例えば直熱3極管300Bシングルとビーム管KT66プッシュプルの出す音が思いの外に近いのです。スピーカーが決まると音の基本的キャラクターが決まるので、それを最大限活かせるアンプを探すという順で決めていくのが良いでしょう。
 今にして思うのは一番影響力が大きいのは部屋の音響です。ですから上に書いたような現象(300BシングルとKT66プッシュプルの話)が起こるのでしょう。


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